事業の概要

国営小阪部川農業水利事業(昭和15〜30年度)

  昭和初期、湛井十二ヶ郷、上原井領、高梁川東西用水の3組合での用水配
 分は、様々な旧慣があり、用水施設も不完全で、かんがい用水の確保に非常
 な困難を強いられてきました。そこで用水問題解決のため、昭和11年8月
 岡山県に高梁川用水委員会が設置され、種々検討が行われていたところ、昭
 和14年の大旱魃を契機として、昭和15年1月に新見市に小阪部川ダムの
 建設、総社市に湛井堰と上原堰を統合した高梁川合同堰の新設、そして用水
 路の改修の基本方針が決定されました。この方針に基づき、小坂部川にダム
 の建設が県営事業として昭和16年1月に着手されました。しかし戦時中の
 資材、労務不足により工事が難航したため、昭和23年8月に県営事業は国
 営事業に移管され、米国対日援助見返資金2億円の配布を受けて工事も本格
 化し、昭和30年10月待望のダム建設工事が完了し、昭和31年3月事業
 は完了しました。そして、その翌年の昭和32年3月、農林省から当土地改
 良区がダムの管理委託を受けました。
建設中の小阪部川ダム
完成当時の小阪部川ダム


国営附帯県営かんがい排水事業(昭和24〜44年度)

  小阪部川ダムから放流される農業用水の補給水量と、高梁川の自然流量と
 を合わせた水量を、それぞれの用水の堰によって取水配分するため、旧来の
 4堰のうち、構造が不完全であった最上流部の湛井堰と上原堰を統合して、
 「コンクリート」固定堰へ改修することとなり、昭和35年度に着工され、
 昭和41年度に完成しました。
  また、これらの水を導水する湛井十二ヶ郷用水や上原井領用水などの用水
 路の改修も併せて施工されました。これらの工事は昭和24年度から20年
 の歳月を経て昭和44年度にすべて完成しました。

改修中の高梁川合同堰
 
 


国営かんがい排水事業(平成10〜27年度)

  国営附帯県営かんがい排水事業で施工された、高梁川合同堰および湛井十
 二ヶ郷用水路も、改修後30年以降を経過し老朽化が進み、計画どおりの十
 分な配水が出来ない状況にあったため、国営事業により頭首工及び水路等が
 改修されました。
改修中の湛井十二ヶ郷用水路


県営農業用河川工作物応急対策事業(平成13〜19年度)

   小阪部川ダム完成から約45年が経過し老朽化の進行により洪水吐ゲート
 が緊急時に使用不能となる恐れがあったため、県営事業により洪水吐ゲート
 が副制水ゲートとあわせて改修されました。
完成した洪水吐ゲート


国営施設機能保全事業(平成26年度〜令和6年度)

   小阪部川ダム施設の経年劣化に伴い、取水設備及び放流設備においてはゲ
 ート等の腐食、管理設備においては操作制御の不具合等の性能低下が生じて
 きたため、平成26年度から国営事業により、ダムの機能を保全するための
 整備が進められています。なお、緊急に更新整備を行う必要のあった放流警
 報設備等管理設備の一部は平成25年から国営施設応急対策事業で先行して
 改修されました。

取水設備の改修
【参考】事業の概要
  1 関係市町 岡山県岡山市、倉敷市、総社市及び都窪郡早島町
  2 受益面積 6,730ha(田:6,716ha、畑:14ha)
  3 総事業費 4,500百万円
  4 予定工期 平成26年度〜令和6年度
  5 主要工事 小阪部川ダム改修 1式
         ・堰堤(コンクリート劣化箇所)の補修・補強
         ・取水・放流設備の更新
         ・管理設備(観測警報設備、管理所等)の更新


水源涵養林事業(昭和35年度〜平成25年度)

   昭和35年から小阪部川ダムの上流の新見市大佐大井野地内の山林35.
 6haに、保水や洪水緩和の機能を持った「緑のダム」として水源を確保する
 ために、ヒノキ、スギ等を植林しました。平成24年度からは植林後約50
 年が経過したことから、平成25年度までに本格的な間伐を実施し、この売
 却代金は小阪部川ダムの維持管理費や補修費用に充てられています。
水源涵養林


地域用水機能増進事業(平成10〜22年度)

   農業用水は長い歴史の中で、かんがい用水の役割に加え、生活用水、防火
 用水、環境用水などの地域用水機能をあわせ持っていることから、これらの
 農業用水の持つ多面的機能の維持、増進を図り、農業水利資産の維持保全を
 めぐる地域社会における新たな支援体制を確立させる活動を実施しました。
親水施設維持管理増進活動


農業用水水源地域保全対策事業(平成19〜24年度)


   良質な農業用水の安定的な供給と国土保全のためには、水源地域における
 森林について水源涵養機能の発揮、土砂流出防止機能の向上や良好な森林水
 環境の形成を図る必要があります。このため、水の恩恵を受けている下流地
 域の農業生産者や地域住民等が水源地域を取り巻く現状や課題について理解
 を深めるための普及促進活動を実施しました。
森林体験学習会


国営造成施設管理体制整備促進事業(平成12年度〜令和4年度)


   ダムの持っている洪水調節機能、良好な景観形成機能、人間教育機能を促
 進するため、地域住民やNPO団体による草刈りやゴミ拾い等の保全活動、
 小学校での出前授業等を実施しています。
ダムでの施設保全活動

小坂部川